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早期退職を防ぐ適性の見抜き方

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15年以上に渡り採用に携わってきた経験の中で、早期離職につながっている共通点があります。

それは、応募者の適性が見極められずに採用していることです。

適性とは、組織や組織で働く人に性格や行動特性が合っていることを指します。

もちろん能力面でのミスマッチを理由に早期退職に繋がるケースはありますが、圧倒的に性格や行動特性のミスマッチが原因となっているのです。

職場でコミュニケーションギャップが起きる3つの理由」でも解説した通り、適性が合っていないと違和感が生じます。

すり合わせができる範囲の違和感であれば問題ありませんが、そうではないレベルの違和感は居心地の悪さに繋がります。

この違和感を防ぐために重要な役割を担うのが採用選考です。

適性を見抜くための前準備

早期離職につながった採用選考を100件ほど検証した結果、ほぼ100%と言い切れる共通点がありました。

それは、選考にかかわる人たちの「言葉の定義」がバラバラということです。

例えば、「良い人材とは?」と問いかけをした時、どんな回答が出てくるでしょうか。

「主体性がある人」

「協調性がある人」

「積極的・活発な人」

「前向きで明るい人」

「アイディアが豊富な人」

「気配りができる人」

これはあくまでも一例ですが、多くの企業は出てきた回答の中から、何に重点を置いて決めるだけで終わっていました。

しかし、大切なのはこの後の掘り下げです。

例えば「主体性がある人」を採用しようと決めたのであれば、「主体性があるとはどんな人材なのか?」ということまで掘り下げて考えることが大切なのです。

言葉の定義を揃えること。

これが適性を見抜くための前準備です。

ある企業では「主体性がある人」の定義が全員バラバラでした。

  • 説明会担当者→指示がなくても行動できる人
  • 書類選考担当者→リーダー経験がある人
  • 一次面接官→指示されたことを自分なりに工夫して仕事ができる人
  • 最終面接官→問題をみつけて改善できる人
  • 社長→会社の理念を理解し、理念実現のために自ら動ける人

ここまでバラバラだったこともあり、正直なところ採用選考も順調に進みません。

選考中の辞退率は50%強。

さらに選考を経て入社したとしても、入社前に思い描いていた職場ではない」と早期離職につながってしまいました。

採用選考に関わった人たちと現場リーダーの認識がズレていたからです。

組織の適性に合った人を採用にするには、まず組織に合う適性を持っている人はどんな人なのか、しっかりと深掘りをして言葉の定義を揃え、共通認識を持つことが必要不可欠といえます。

ぜひ御社で使っている言葉について関係者が共通認識を持てるように、言葉の定義を揃えることを徹底していきましょう。

早期離職を防ぐ3つの採用プロセス

早期離職を防ぐための前準備が整ったら、具体的なアクションを取り入れていくことが大切です。

ポイントは、いかに応募者の素の状態をキャッチすること。

そのために取り入れた方が良い3つの採用プロセスについて解説いたします。

選考前のカジュアル交流

1つ目は、選考前のカジュアル交流です。

ここでは、あえて面談ではなく交流としています。

一般的にはカジュアル面談が主流ではありますが、経験則として面談よりも交流とした方が、より素の状態でコミュニケーションを取れたからです。

「面談」と「交流」とでは、言葉から受け取る印象が異なります。

実際50名に言葉の印象をヒアリングしたところ、全体的に面談の方が交流よりも肩に力が入る傾向がありました。

たった2文字ですが受け手の印象が変わりますので、ネーミングにもこだわってみましょう。

交流の中で効果が高いのはランチ交流ですが、難しい場合は職場見学を兼ねて社内を歩いながら話す時間を取ってみましょう。

また交流を担当する人は採用担当者ではなく現場社員の方が心を開いてもらいやすいです。

応募者が極力身構えずに交流できる人を交流の担当者とすることをオススメします。

働くイメージのすり合わせ

2つ目は、働くイメージのすり合わせです。

早期離職の原因は「思っていたのと違った」が発生することに起因します。

「給与条件が違う」

「思ったより残業が多い」

「休日出勤はないはずなのに、先輩社員は出勤している」

「他部署の仕事を兼務するなんて聞いていない」

「研修制度があると聞いていたのに、何も教えてもらえない」

早期離職希望者と面談をすると、ここでは挙げきれないほど「思っていたのと違った」という話が出てきます。

では、なぜこのようなことが起きるのでしょうか。

それは採用選考の段階で働くイメージのすり合わせが十分にできていなかったからです。

例えばある企業では、辞退を避けるために「会社のマイナス面は濁す」方針で採用選考を行っていました。

嘘は言っていないのですが、ごかましていたのです。

  • フレックス制度は導入しているが、実情は社員全員が9時~18時の固定時間で勤務している。
  • お客様からのリクエストで特急案件が入ってくると、残業時間は平均の3倍以上になる。
  • 研修制度はあるが、人員不足で教える余力がなくマニュアルを使った自主学習を研修としている。

このような実態は、包み隠さず共有しておくことが必要不可欠です。

あらかじめ説明することで選考を辞退されるリスクはありますが、入社をしても早期離職するのであれば、選考自体の方がお互い幸せな決断だと言えます。

希望通りに働ける場所は自分で作らない限り存在しません。

ですので、応募者は自分の希望と実態をすり合わせて、どこまで希望を譲れるのか調整します。

その調整ができた上で入社を決断した人には、働く覚悟が芽生えます。

採用選考は、応募者の働くイメージをすり合わせする場でもあります。

そのことを忘れずに対応するだけでも早期離職は確実に減らすことができます。

適性検査の導入

3つ目は、適性検査の導入です。

能力テストではなく、性格や特性が組織になじむのかを確認できるタイプのものをオススメします。

寄りそうコンサルタントグループ HR LABOで取り扱っているのは、HRアセスメントです。

集団における客観的なコミュニケーションの傾向や質、人間関係のつくり方、行動スタイルなどを12尺度で測り、数値・グラフで見える化します。

「スキル=できるか否か」で判定されるものが多いですが、HRアセスメントは「できるけど好きではない」「言わないけど心の中では思っている」といった表面化しづらい内面部分まで深く分析できることが特徴です。

例えば、このグラフをご覧ください。

このグラフの人物は「明るく社交的。論理的に話をまとめ、しっかりしている人」と評されることが多く、採用面接でも「新規の飛び込み営業に向いている」とオファーを受けました。

たしかに話すことはできる人です。

一方で、雑談や初対面の人との会話は苦手意識を強く持っています。

まさに飛び込み営業は、できるけど好きではない仕事で、知らず知らずのうちにストレスをため込んでいきました。

「できるけど好きではない」「できるけどストレス」ということを応募書類や面接だけで見抜くのは非常に難易度が高いです。

カジュアルに交流をしても短時間であれば取り繕って対応できるので、なかなか見抜くことはできません。

しかしHRアセスメントでは、ひと目でわかるのです。

13時の位置にある「会話性」を確認してみましょう。

明らかにスコアが低いので、話すことが好きではない、苦痛であるということが分かります。

この会話性は、日常の何気ない会話をすることが好きか嫌いか、楽しいか苦痛かを測るものです。

ビジネス会話やプレゼン能力は訓練すれば伸びますが、日常会話はその人の本質的なものであり、コミュニケーションのベースとなっています。

応募書類や面接だけで、この本質的な部分まで見抜くことは至難の業です。

選考の精度を高めミスマッチや早期離職を防ぐために、適性検査は重要な役割を担えるものといえます。

まとめ

早期退職の原因は性格や行動特性のミスマッチが圧倒的に多いため、採用選考では可能な限り適性を見極める努力が必要です。

選考前に言葉の定義を揃えることが前提で、選考プロセスではカジュアル交流、働くイメージのすり合わせ、適性検査を導入することが効果的といえます。

本記事でご紹介したHRアセスメントは、人間関係の質や行動スタイルなどを数値・グラフで見える化し、内面部分まで深く分析できるため、選考の精度を高め、ミスマッチや早期離職対策に活用することできます。

HRアセスメントのご案内

寄りそうコンサルタントグループ HR LABOでは、採用選考の適性検査としてHRアセスメントの導入を検討したい企業様を対象に、オンライン相談会実施しております。

社員を類型化をせずに個人の個性をそのまま見える化できますので、個性を認め合い、事業の発展と社員の働きがいの両面から組織活性実現する基礎資料として活用できるアセスメントです。

12の多角的角度から、コミュニケーションの傾向や質、人間関係のつくり方、行動スタイルを分析します。

ご関心を持っていただけるようでしたら、お気軽にお問合せくださいませ。

※オンライン相談会実施中!(初回無料・30分)

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宮治 有希乃

組織人事コンサルタント
ミスマッチ調整パートナー

1978年1月14日生まれ、北海道札幌市出身。 2007年よりITベンチャー、人材ビジネス業界で人事労務・人材育成に携わり、現場の最前線で人材採用から社員育成・定着化、人事制度構築、キャリア支援などを経験したオールラウンダー。 2018年10月に寄りそうコンサルタントグループ HR LABOを立ち上げ、独立。 現在は「ミスマッチ調整パートナー」としての活動に注力。主に組織人事・キャリア領域で「HRアセスメント」を活用した組織活性や採用・定着化、人材育成、キャリア支援を中心に事業展開している。

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