職場でコミュニケーションギャップが起きる3つの理由
コミュニケーションギャップとは、お互いの価値観や受け止め方、理解の仕方などが異なって、意見や考え、想いが上手く伝わらないことです。
誰ひとりとして同じ人間は存在しないので、大小の差はあるにせよ、どんな職場でもコミュニケーションギャップが起きているのではないでしょうか。
コミュニケーションギャップが起きると、情報の食い違いや誤解が生じてしまい、人間関係が悪化する要因にもなります。
本記事では、実際の職場で起きたコミュニケーションギャップの事例を元に、コミュニケーションギャップが起きる理由について解説いたします。
違和感で捉えるギャップの理由
コミュニケーションギャップが起きると、自分と相手の間に何かしらの違和感が生じます。
「あの人とは何か合わない」
「しっくりこないんだよね」
「居心地が悪いな」
このような違和感を表す言葉が出てきた時は、確実にコミュニケーションギャップが起きていると言っても過言ではありません。
ではなぜ、違和感が生じるのでしょうか。
その理由を3つの側面で考えていきましょう。
会話の量や質
1つ目の理由は、会話の量や質によるギャップです。
会話の量は、話すことが好きであればあるほど多くなります。
話すことが大好きな人は、とにかく会話量が多く、「あなたも一緒に話しましょう」「一緒に楽しみましょう」と悪気なく話しかけます。
相手も話すことが好きであれば何のギャップも生じませんが、もし話すことが苦手だったらどうでしょうか。
話すことが苦手な人は会話量が少ないので、ここで会話量の「多い・少ない」というギャップが生まれます。
ちなみに、この会話量のギャップを10社で調査したところ「会話量が少ない人が、多い人に合わせている」という共通点がありました。
職場という特性も影響しているのか、人間関係を壊したくないという想いで会話量を増やし、ギャップを埋めるケースが多かったのです。
しかし、自分の特性と違うことを頑張り続けるには限界があります。
どの会社でも概ね1か月~2か月を経過した頃から、無理を重ねたことがストレス反応として表れ始め、仕事に対する意欲が低下したり、人間関係を理由に転職を考えるきっかけになっていました。
また、会話の質という点でも、ギャップは生じます。
例えば、話すことが大好きな人は、話の内容も幅広く、どんな話も対応できる人が多い一方、話すことが苦手な人は、必要なことだけ話したいと思う傾向があるので、話の幅は狭くなりがちです。
どんな内容でも楽しく話ができる人と、興味があることだけ話したい人とでは、会話にギャップが生まれます。
話す内容や興味関心度、話す意欲などの面で違いがあるからです。
繋がりの濃淡
2つ目の理由は、繋がりの濃淡によるギャップです。
繋がりの濃淡とは、他人との距離感と言い換えることができます。
「人と深くつながりたい」
「仕事に関係することだけで十分」
「仕事に関係していもなるべく関わりたくない」
どれくらいの距離感で他人と関わるのが良いのかは、一人ひとり異なります。
また、状況によって「近い方がいい」「離れていたい」と心境が変わることもある変動性の高い特性です。
同じ感覚を持っている人とは、距離感が合っているので、違和感なく付き合うことができますが、違う感覚を持っていると距離感が合いません。
相手に近づき過ぎたり、距離を置き過ぎたり。
逆に、許容範囲を超えて近づかれ過ぎたり、遠くに離れられてしまったり。
相手とどれくらい繋がっていたいのか。
この感覚が合わずにギャップが生じると、違和感に繋がっていきます。
こだわりの強弱
3つ目の理由は、こだわりの強弱によるギャップです。
こだわりが強い人は自我が強く、自分の意見をしっかり持っています。
自分の意見をしっかり持っている人から見ると、相手に合わせて「何でもいいよ」と言う人に対して、どんな印象を持つでしょうか。
こだわりが強いと自己認識している人20名にいヒアリングした結果、およそ70%の人から「やる気がない人」という言葉が出てきました。
「やる気がない人とは仕事をしたくない」
「ディスカッションができないなら、コミュニケーションを取る時間がもったいない」
という話もあり、コミュニケーションギャップ以前に、コミュニケーションをしない対象と捉える傾向がありました。
その他、「自分の意見を通しやすいから、思い通りにできて楽」
「好きにできるのはいいけど、暴走してしまいそうで怖くなることがある」
と話してくれた人もいました。
では、「何でもいいよ」と言っている人は、本当に「何でもいい」と思っているのでしょうか。
こだわりが弱いと自己認識している人20名にいヒアリングした結果、全員が「基本的には本当に何でもいいと思っている」と話してくれました。
ただ、よくよく話を聞くと「限度はある」とのこと。
限度の個人差はあるにせよ、「意見を押し付けられすぎるとストレスを感じる」「感情を抑えられなくなり、人間関係に亀裂が入ったことがある」といった話がありました。
ギャップを防ぐ鉄板原則
では、コミュニケーションギャップを防ぐにはどうしたらよいでしょうか。
難しく考える必要はありません。
「相手の価値基準を理解し、相手に合わせたコミュニケーションを取る」
この原則を徹底して実践し続けること。
これに尽きます。
自分の価値基準は一旦脇に置き、相手に合わせる。
よく考えれば当たり前のことかもしれませんが、実践できている人が少ないがゆえに、コミュニケーションギャップは起きているのです。
まずは、相手に興味を持つことからはじめましょう。
できれば組織全体で共通認識を持って取り組めると効果的です。
自分ならどうするかではなく、相手ならどうするかを考え、合わせることを積み重ねていくと、次第にお互いの落としどころが掴めてきます。
小さなことから少しずつ。
確実にコミュニケーションが変わってきますので、ぜひお試しください。
まとめ
コミュニケーションギャップは、会話の量や質、繋がりの濃淡、こだわりの強弱によって生じます。
相手の価値基準を理解し、相手に合わせたコミュニケーションを取ることが鉄板原則です。
組織全体で共通認識を持って取り組むことが効果的であり、少しずつ相手に合わせることを積み重ねていくことで、お互いの落としどころが掴めるようになりますので、焦らず取り組んでいきましょう。
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宮治 有希乃
組織人事コンサルタント
ミスマッチ調整パートナー
1978年1月14日生まれ、北海道札幌市出身。 2007年よりITベンチャー、人材ビジネス業界で人事労務・人材育成に携わり、現場の最前線で人材採用から社員育成・定着化、人事制度構築、キャリア支援などを経験したオールラウンダー。 2018年10月に寄りそうコンサルタントグループ HR LABOを立ち上げ、独立。 現在は「ミスマッチ調整パートナー」としての活動に注力。主に組織人事・キャリア領域で「HRアセスメント」を活用した組織活性や採用・定着化、人材育成、キャリア支援を中心に事業展開している。